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追い詰めすぎず、やりたいことを通す。反作用のモンスター

家康は、戦国武将のなかでも「家庭環境の悪さ」トップクラスである。

祖父・父と、2代連続、家臣の裏切りで、殺されているだけではない。
三河一向一揆では、自分も家臣に裏切られている。
母は、別の男に嫁いでいる。
自分の妻も、息子・信康も殺す。。
普通の人が「社会性秩序」を優先したとき、大事なもの=「情」を差し出した。

それが、家康という「真っ当・反作用」モンスターを生んだ。

家康の平和実現のための根本は、
過去は問わない、信仰にも踏み込まない、行動だけで管理する。
他人の全部を侵害しない。
他人を逃げ道なく、追い込む。やりすぎて恨みを買うと「破綻する」と学んでいる。

信長に支配された側の経験が活きている。
祖父・清康も急拡大中、家臣を追い詰めすぎて、殺された。

勝ち過ぎないことが大事、平和のためには不断の努力を惜しまない。
落としどころが上手い。
自分のやりたいことは、通す。
が、相手にもやりたいこと、思うこともさせる、追い詰めすぎない。
権力を持っても、自分の勝手をしない。
が、相手にもやりたい放題させない。
線引きはどこにするか?
これを、丁寧に探すのが政治というものである。


出張先での晩御飯・・・
肉、食べたい!でも、健康も大事にしたい・・・
「落としどころ」は、豚汁@スペアリブ入り、で。


家康のプロパガンダ(操作的広報戦略)「三河武士は忠義者」

三河武士は、忠義に厚く、勇猛である。
と、言われている。

これは、家康による「プロパガンダ=情報操作的な広告」である。
(と、私は妄想している)

理由を説明する。

祖父・清康は、25歳で家臣に殺される。
父・広忠も、24歳で家臣に殺される。

殺したのは、もちろん「三河武士」である。
「忠義」とは、程遠い家臣団の中に、家康はかえってきた。

さあ、そこで、どうするか?

普通は、「こいつら、もう信用しない!」
最悪「人間自体、信用できない!!」となる。

自分に置き替えてもらいたい。
何代も続く会社を経営している会社に生まれた。が、
父も、祖父も、2代続けて、
会社の幹部に、財産を持ち逃げされて、自己破産の憂き目にあっている。
そうゆう会社を引き継ぐことになった。
現代で言えば、そんな感じである。普通、人間なんて信用できなくなる。

でも、家康は、普通じゃなかった。
「ならば、俺が忠義の家臣を作ろう。平和な世の中を作ろう」と考えた。
ここが、天下人たる所以である。
強力な家臣たちを育成して、勝ち残る。

「三河武士は、忠義に厚く、勇猛である」

これは、過去、そうではなかったから、
今からは、そうであって欲しい。という願望である。
(父も、祖父も、家臣に殺られた。自分もそうなるかもしれない)
それを、なかったことにしたい。なくしたい。
コンプレックスであり「強い反作用」である。

・・・・
「スローガン」とは、そうゆうことである。
「こうあって欲しい」(今は、全然、違うけど・・・)という願望を、
いかにも事実のように、言葉にして発信し続ければ、
そのうち、本当にそうなってくる。

『○○会社のスタッフは、○○だ』今、できてない。
けど、そうあって欲しい姿。今と真逆のフレーズを言い続けてみてください。

これを、プロパガンダ、マインドコントロールと呼ぶ。
一般的には、良い意味では使われない、マイナス・イメージ用語である。
が、組織運営やマーケティングには、必要な要素である。

古来、「毒」をうまく使いこなす者だけが、「良薬」を作ることができる。
ペニシリン、アスペリン。ケシ、アヘン、モルヒネ・・
毒は、良薬となる。


凡庸なトップでも、売れてゆく仕組みを作る

引き続き「どうする家康」より

家康が、自分(秀忠)を、後継者に指名したことについて、
家臣の本多正信と榊原康政が、話す内容である。

↓↓
才があるからこそ、秀康様を跡取りにせぬのでござる。
才ある将が一代で国を栄えさせ、その一代で滅ぶ。
我らは、それを嫌というほど、見てまいりました。
才ある将、一人に頼るような家中は、長続きせんということでござる。
その点、あなた様は、全てが人並み!
人並みの者が、受け継いでいけるお家こそ、長続きいたします。
いうなれば、
偉大なる凡庸といったところですな。
↑↑

優れた後継者、幹部の育成も、もちろん大切である。
同時に、
どんなボンクラ・能力不足・ダメ人間が「当主」となってしまっても、
安定的に支配できるように考えた。
日本に300年の泰平をもたらした江戸幕府の凄さはそこにある。

会社に置き替えると、マクロ的には「資本と経営の分離」ということである。
中小企業でも、同じことを考えなければならない。
安定的に拡大してゆく「仕組み」を作ること。
将軍(トップ)がどんな状態でも、勝手に運営できるようにすること。

江戸幕府の場合、具体的には、
老中制度。
武家諸法度。禁中公家諸法度。
参勤交代。国替え。目付け役をはじめとした各奉行所制度。

現代の会社経営にも、通じるものがある。


途方もない大人

前回からの続き・・・

前述のような社長だから
「見せしめ的」に叱られる可能性が高いなー。
良くても「中西君、もっとリップサービスしてあげなさい」ってなるんだろうなー。
と、陰鬱な気持ちで、社長室に立っていた。

さっそく、
数十億円の年商を一代で築き上げた機械メーカー会長が、怒涛のごとく、クレームを並べる。

本告社長は、うん、うん、なるほど、、と、全部聞いていた。

ひと通り聞き終えた本告社長は、このように話はじめた。
「いくつか、確認させてください」

「セミナー自体に、お客様(機械メーカーの見込み客)は、たくさん来ていますか?」
会長「はい、来ています」

「中西のセミナーの内容に、お客様は満足されていますか?」
会長「はい、お客様は満足しています。だから、この中西が、当社の機械を買えば売上が上がる、と言えば・・・・」

「セミナー後の追客で、機械が思ったよう売れない。そうゆうことですか?」
会長「はい、1回の開催で最低1社は契約したい。だから、この中西が言えば・・・」

「御社は、機械をたくさん売りたい。そうゆうことですね」
会長「そうです、その通りです。だから、この中西が・・・」

「なるほど、、わかりました」
「問題点は、御社の営業マンの力が弱いことです」
「当社が、御社の営業力を上げるために、営業マン研修をしましょう。
 あと500万円ほど、出してもらえれば大丈夫です。研修は中西の上司○○がやります。
 その線で、話をすすめてゆきましょう。営業力の強化というのはですね・・・・・
 問題は根本的に解決しなければなりません。」

この返事を聞いて、機械メーカーの会長が、
口をあんぐりパクパクさせていた光景を、今でも覚えている。
(これほどお金を払っているのに、まだ払えというのか。。)

え?
クレームを言いに来たお客様に、さらに売りつけるつもりか!?
なんて人だ。
器がでかいのか、何も考えてないのか、
自社の会社のことしか考えてないというか、資本主義の権化と言うか、、
図太い、無神経、面の皮が厚い、臆面の無い、、どう表現したらよいのか。
すら、わからない。
自分の想像をはるかに超えた「度量の大きさ」を感じました。

事実を整理したうえで、相手の土俵に攻め込むことで、
クレームがクレームでなくなった。
本告社長の提案通り、営業研修の仕事も依頼された。
・・・私の上司もイヤイヤ行ったので、研修は数回で終わったらしいけど。。

当時、私は、26歳くらい。
さすが「船井幸雄」が、後継者に指名した人である。
百戦錬磨、いくつもの修羅場をくぐり抜けてきた「大人」の
途方もない「太さ」「大きさ」を感じる出来事でした。
大人と書いて「たいじん=度量のある人」とも読む。そうゆう人でした。

それに、
大事なことが、もうひとつ。
手抜きや、故意じゃない限り、
「自社のスタッフを、クレーム相手にさらすようなことをしてはいけない」
私は、社長によって守られた。

このとき、もしも私が、
「会社の売上を守るためだ」と謝罪させられていたら・・・。
あるいは、年間数千万円の売上を、自分の主義主張のために飛ばしてしまっていたら・・・
私は、今頃、どんな「大人」になっていただろうか?

とても大切なことを教えてもらったと思います。
いざというとき、肝心なときの「肝の据わり方」「自社のスタッフを守ること」こそ、
リーダーに大切なことです。半端じゃなかった。

この一件を、間近で見ただけで、
私は、本告社長をずーっと、尊敬している。

本告社長の本を、スペースに限りある書棚に残しているのは、
そうゆう「途方もない大人のデカさ、太さ」を忘れないため。である。


2023年のレクイエム ~外交のプロ/ヘンリー・キッシンジャー

ユダヤ系ドイツ人で、
アメリカの元政治家、外交家です。100歳まで生きました。

高校生のころ読んだ本の中に、
こんな文章があったことで、キッシンジャーに初めて出会う。

【キッシンジャー・クラスの人材に、
10~20億円払って、外交を依頼すれば良い。日本のために働いてもらうのだ】

誰だ?キッシンジャーって??
そんなに凄いのか?
と、キッシンジャーを調べるようになる。

当時30年前は、ネットのない時代。。
本を読んで、アメリカの外交を知り、
「日高義樹のワシントン・レポート」という週末・夕方のTV番組に、
生・キッシンジャーが、時々出演するので、大学生~社会人にかけて、観ていました。
ハーバード大学で博士号をとり、教授として活躍した後、政権入りした。
“キッシンジャー博士”と呼ばれていて、
(政治家が博士!アメリカすごいなあー、日本の政治家に博士はいないなー)と、思っていました。

ちなみに、
以下、この本のキッシンジャーくだり前後の文章。
↓↓
これからの世界は、ミサイル=軍備よりも、インテリジェンス=情報である。
日本は世界に通用する情報機関を作り、正確に情報収集し情勢を見極め、他国とわたりあう必要がある。
外交は戦争。決着がつかないと戦争になってしまうから、それを防ぐ。
北の脅威は単なるブラフ。それを理由に、アメリカは、もっと兵器を買え、と要求してくる。
日本から「金持ち」の看板がなくなれば、北朝鮮・中国・ソ連の脅威が増してくる。
政治家も官僚もクビにして、企業人を登用して国家を任せる。完全に民営化するくらい大胆に変革しなければならない。
日本には、天然資源がなくても、ヒューマン・リソース(人的資源)は豊富だ。
世界でいちばん教育水準が高く、いちばんよく働く若者がいる。
軍事で世界を制する時代は終わった。これからの戦争は経済戦争をもっと発展させたハイテクノロジー戦争だ。
それに勝てるか勝てないかは、君たち若者の腕にかかっている。
これまでの考え方を覆すような自由なアイデアと自主性を持つ人間、
緊張感の中で生き、責任感を持ってリーダーシップをとっていける人間の登場、
それが期待されているのだ。
国を守りたいなら、ビジネスの世界に飛び込んで、あぶら汗を流して、
血の小便をしてみろ、ということだ。
本当の責任感とは、そうした修羅場をくぐりぬけることにより、身につくものなのだ。
↑↑

30年前の文である。
が、読み返してみると、言ってることは、ほぼ当たっている。
日本の政治や外交を、日本人が選んだ優秀な外国人に「委託しろ」というのも、面白い。
スポーツの世界では、今、それが普通になっている。
監督が外国人、キャプテンが外国人。。世界と対等に戦うためには、当然である。

ひとつだけ・・・・今と異なる点がある。
『いちばんよく働く若者がいる』ということが、今、なくなってしまった。
日本国は、自分の長所=教育・勤勉・良く働く。ということを自ら放棄した。
(やはり、政治家・官僚を、一度、クビにすべきだったんだ)

・・・・
私と、私の身近な人たちは、
こうゆうことに、絶対に、巻き込まれず、どんな時代になっても
ちゃんと生き残れるようにやってゆきたい。
本質は、きっとこの先30年間も、変わらない。
読み返してみて、確信しました。





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