top > 2018年 > 3月 > 4日


上州名物・かかあ天下とからっ風

「〇〇、こんなんじゃダメだろー!」

社長を呼び捨てにして、ズバッとダメ出しするのは、
社長のお母さま。
夕方、工場の仕事を終えて、事務所に顔を出す。
いつも肩にタオルを巻いている。
全力で仕事してきた感が、全身から沸き立つ。
髪は、短髪。チーター(水前寺清子)のような。

「ナニ、言ってんだ、これはこうゆう意味でやってんだよ!」
息子である社長も、負けずにやり返す。

目の前で、数分間、激しい言葉が飛び交う。

「そうかい、じゃあもう、好きにしな!」

この親子バトル、
いつも決まって、お母さまの、この言葉で終わる。

 
驚くことが、いくつかある。

この言葉を発したあとは、まったく何もなかったかのように
ごく普通の会話に戻る。
あれだけ罵倒しあっていたのに、お互い、ジトジトあとを引かない。
カラッとして、今までの喧嘩が、嘘のような平常になる。

そして、
言いたいことを言って
「好きにしな!」と言ったあとは、本当に、好きにさせる。
息子も、母親の言うことを、少し勘案しながら、施策を決めている。

最後に、
暴風雨のような親子は、バトル中も、そばにいる私を、絶対に巻き込まない。
「ねえ、中西さん」とか「中西さんは、どう思う」とか、
「だいたい、アンタがついていながら・・・」とか、一切ない。
仲裁の必要なく、完結させる。
まして、1対1を、2対1にしよう・・なんて気は毛頭ない。
私には「すみませんねー」と言いながら、やりあっている。

 
場所は、群馬。

「上州名物・かかあ天下と空っ風」という有名な言葉がある。

養蚕で栄えた群馬では、勤勉で働き者の女性が多く、発言権も強かった。
からっ風とは、激しく、乾いた「赤城おろし」。
吹き荒れるのは日中の一時で、夕暮れには、止んでしまう。そして晴天をもたらす。

まさに、この言葉の通り、上州名物の親子喧嘩だった。

お母さまの訃報。
同じ地域にある、ご支援先の葬儀社さまから、
ご連絡いただき、知ることとなりました。
ご冥福をお祈りします。

もう、この素敵な「上州名物」を目にすることはできない。
でも、私たちの胸のなかには、
学ばせていただいたことが、生き続けている。





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